超音波厚さ計 測定事例

ゲルコートの厚さ測定

ゲルコートは、主にFRP(繊維強化プラスチック)の表面に塗布される特殊な樹脂コーティングです。ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を主成分とし、硬化すると滑らかで光沢のある表面層を形成します。
代表的な用途の一つはヨットやジェットスキーの船体であり、特にグラスファイバー製の船体で使用されています。ゲルコートはその表面に光沢のある保護層をつくり、美観を高めるだけでなく、環境要因や化学物質による損傷から基材を守る役割を担っています。

ゲルコート塗布代表例:船体

FRP船体のカットサンプル

顧客から、ゲルコートを施したFRP船体のカットサンプルを受け取りました。

メーカーでは、製造工程においてゲルコートの厚さを測定し、その値が規定の範囲内にあることを確認する必要があります。ゲルコートの厚さは通常約0.25〜1mmであり、一般的には0.5mm程度に仕上げられることが多いようです。

ゲルコートは表面仕上げのために使用されますが、ゲルコートとFRP境界面は一般的に粗く不規則で均一ではありません。境界面からのエコーは散乱や乱反射し、超音波厚さ計が誤ったエコーを検出する恐れがあります。
このため、「PM5」のような波形表示付き超音波厚さ計で、境界面からのエコーを正しく検出していることを確認しながら測定する必要があります。

FRP船体のカットサンプル2

15MHzの遅延材付きプローブを使用することで、さまざまな厚さのゲルコートを迅速かつ正確に測定できます。湾曲部の測定時には、プローブを測定面に対して垂直に保持することを心掛け、表示値の内、最も薄い厚さを測定値として採用します。

ゲルコートの厚さ測定を検討中のお客様や、実際に測定を行っているものの何らかの課題をお持ちのお客様は、ぜひ弊社までサンプルをご送付ください。弊社にてテストを実施し、最適な解決策をご提案します。

厚さ計 プローブ 周波数 種別
PM5 GEN3 D15A6 15MHz 遅延材付き

測定風景