電波吸収体(RAM)の厚さ測定
電波吸収体(RAM)は、表面に入射した電磁波エネルギーを吸収し、材料内部の損失機構によって熱などの別のエネルギー形態に変換する性質をもつ材料です。
その用途は、機器の電磁両立性(EMC)の確保や電磁波汚染の防止、電子試験分野などの民需にとどまらず、航空機や艦艇のステルス性向上といった軍事分野にも広がっています。特にステルス技術は近年の兵器開発における最重要課題の一つで、電波吸収体の役割と重要性はますます高まっています。


現代戦においてレーダーは最も信頼性の高い探知手段であるため、ステルス性能は次世代戦闘機における極めて重要な設計指標とされています。ステルス技術の研究はレーダー反射断面積(RCS)の低減に重点が置かれており、電波吸収性コーティングは優れた吸収効果によるRCSの低減に加え、既存兵器や複雑な形状にも適用できる柔軟性を備えていることから、ステルス技術の中核を担っています。
電波吸収性コーティングの厚さや塗布ムラは、ステルス性能に直接影響します。したがって、コーティング施工プロセスではコーティング厚を厳密に管理する必要があります。
電波吸収コーティングが規定の厚さで均一に形成されているかを確認するために、超音波厚さ計を用いることができます。施工直後やメンテナンス時に測定を行い、規定値を満たしていることを確認することで、コーティングの性能を確保できます。

電波吸収体のサンプルをいくつか取り寄せ、超音波厚さ計「PM5」と15MHzの遅延材付きプローブの組み合わせでテストしたところ、良好な結果が得られました。オプションの「多層測定(マルチレイヤ―)機能」を使用すれば、電波吸収コーティングと素地(母材)の厚さの同時測定も可能です。お問い合わせください。
| 厚さ計 | プローブ | 周波数 | 種別 |
|---|---|---|---|
| PM5 GEN3 | D15A6 | 15MHz | 遅延材付き |
