超音波厚さ計 測定事例

シリコーンゴムの厚さ測定

シリコーンゴムは、シリコンと酸素が交互につながった特別な分子構造を持つ合成ゴムです。通気性に優れており、酸素透過率は合成ポリマーの中で最も高い値を示します。また、多くの化学薬品に対し安定していて、電気絶縁性が高く低吸湿性のため、高周波や湿度の高い環境でも性能がほとんど変わりません。
さらに耐熱性と耐寒性にも優れており、-50℃から200℃の範囲で安定して使用でき、特殊なタイプでは-60℃から300℃においても柔軟性や弾力性、表面の硬さを保ちます。

シリコーンゴムイメージ1

シリコーンゴムイメージ2

このような特性から、シリコーンゴムは非常に幅広い分野で利用されています。たとえば、スマートフォンやパソコンの電子部品を守る封止材、病院で使用される医療用チューブや器具、自動車のエンジンやブレーキ部品などです。さらに、電力、航空、宇宙開発の分野に加え、建築資材や食品産業でも活用されています。
このように、シリコーンゴムは私たちの生活を支える重要な素材となっています。

シリコーンゴムは電力ケーブルの被覆(シース)にも使用されています。シースとしてのシリコーンゴムは、日光や水、薬品、火災といった外部からのダメージを防ぎ、ケーブルの寿命を延ばす役割を果たします。

電力業界のお客様から、電力ケーブル被覆のシリコーンゴムの測定依頼があり、サンプルが送られてきました。シリコーンゴムの厚さはケーブルの耐用年数に直接影響を与えるため、超音波厚さ計での管理を検討しており、測定可否を確認してほしいとのことです。

電力ケーブル被覆のシリコーンゴムサンプル

超音波厚さ計「PM5」でサンプルテストを実施しました。シリコーンゴムに適した周波数は2〜3MHzのため、2.25MHzのコンタクトプローブを使用しました。シリコーンゴムの音速は約900〜1,500m/sと遅く、また種類(成分)により音速に大きなばらつきがありますので、同種もしくは現物の厚さが分かる箇所で音速の校正を行います。
テストの結果は良好で、底面エコーは明瞭で安定した測定値を得られました。超音波厚さ計は、チューブに限らずさまざまな形状のシリコーンゴムの厚さ測定に適用できます。お問い合わせください。

厚さ計 プローブ 周波数 種別
PM5 GEN3 C2.25M13 2.25MHz コンタクト

シリコーンゴム測定風景