クラック・表面きずの検出
渦流探傷器は、表面きずの検出能力に大変優れています。
ここでは、単一方式(アブソリュート)のプローブを用いて、クラックを検出する方法を説明します。
併せて、0.2mm、0.5mm、1mmの深さのきずが入ったアルミニウム板を用いて、クラックの深さと信号の関係を説明します。
測定方法
渦流探傷器に、以下の値を参考にして、必要項目の設定を行います。
周波数 | ローパスフィルター | ハイパスフィルター | 感度 | 画面 | プローブ |
---|---|---|---|---|---|
500KHz | 100Hz | 0Hz | 40dB | 位相平面 | 単一方式 (アブソリュート) |
※上記値は代表的な値です。測定物の厚さ・材質等に応じて、調整してください。
プローブをアルミニウム板の上に置きます。プローブをしっかりと固定し、「NULL」ボタンを押します。次に、プローブをアルミ板の上で、軽く左右に動かし、リフトオフ線が座標の中心から左に移動するように、位相角を調整します。
次に、プローブをアルミ板の上でスライドさせ、クラックをスキャンします。 下の絵は、スキャンした時に表示された信号を示しています。
浅いクラックでは表示される信号も小さく、逆に深いクラックでは信号も大きくなります。このように、クラックの深さと信号の大きさには比例関係があり、信号の大きさから、ある程度のきずの大きさ(深さ)を推測することができます。
測定方法(微細なクラック・表面きずの検出)
フィルターを設定することで、ノイズを減らし、より微細なクラックの検出が可能になります。
ここでは、単一方式(アブソリュート)のプローブを用いて、より微細なクラックを検出する方法とその注意点を説明します。
渦流探傷器に、以下の値を参照して、設定を行います。
周波数 | ローパスフィルター | ハイパスフィルター | 感度 | 画面 | プローブ |
---|---|---|---|---|---|
500KHz | 50Hz | 2Hz | 40dB | 位相平面 | 単一方式 (アブソリュート) |
※上記値は代表的な値です。測定物の厚さ・材質等に応じて、調整してください。
プローブをアルミニウム板の上に置きます。プローブをしっかりと固定し、「NULL」ボタンを押します。次に、プローブをアルミ板の上で、軽く左右に動かし、リフトオフ線が座標の中心から左に移動するように、位相角を調整します。
次に、プローブをアルミ板の上でスライドさせ、きずをスキャンします。
以下の信号は、同じ大きさのきず(0.5mm)を、異なるスピードでスキャンしたときに表示されたものです。
プローブの移動するスピードにより、信号の大きさが異なっています。遅すぎたり、速すぎたりすると、きず信号が小さくなってしまいます。
このように、フィルターを設定することで、より微細なきずを検出することが可能になりますが、一方で信号の大きさがプローブの移動スピードの影響を受けます。このため、フィルター設定時は、プローブの移動スピードを一定にして検査を行う必要があります。また、適切な治具や機械送り等を併用することで、高精度の測定が行えます。